2008年度京丹後市立弥栄中学校 SPP ー地域貢献事業ー
夏休みも残りわずかとなった8月29日に京丹後市立弥栄中学校の1〜3年生26名(付き添い教諭3名も含)を迎えてサイエンス・パートナーシップ・プロジェックト(SPP)(講座型学習活動)を開催しました。このSPP事業は、科学技術振興機構の支援により、小、中、高校と大学等とが連携して児童生徒の科学技術、理科・数学(算数)に関する興味・関心と知的探究心等を育成することを目的とする事業です。ショウジョウバエ遺伝資源センターがおこなう社会貢献事業のひとつとして2年間続けて実施しています。参加した生徒さんは朝6時からバスに3時間半もゆられて本学嵯峨キャンパスに到着しましたが、全員疲れた様子もみせずに、ショウジョウバエのかたちと遺伝子についての解説、顕微鏡のしくみと取り扱い方に関する説明を熱心にきいていました。午後は、2班に分かれて顕微鏡観察と施設見学をおこないました。まず実体顕微鏡を使って、かたちが変化したショウジョウバエの突然変異体を10種類も観察しました。中でも触角が脚に転換しているAntp突然変異体にはとくに驚いたようで、熱心に観察を続けていました。今回は、とくに走査型と透過型電子顕微鏡をスタッフが操作しながら、ショウジョウバエ成虫の微細構造の観察もおこないました。さらにセンター棟内に設置されている飼育瓶洗浄機や飼料作製装置、あるいはDNAシークエンサー、質量分析機などの分析機器についても見学しました。
参加した生徒さんには、電子顕微鏡で観察したショウジョウバエ頭部のかたちがとくに印象深かったようです。後日、弥栄中学校の校長先生より、「理科教育の振興や科学技術への関心を高めるための起爆剤になった」というお礼のメールを頂戴しました。本事業は、中学生の科学に対する興味・関心の向上ならびに本センターがおこなっている研究支援業務について社会的な理解を得ることにも役立ちました。
実体顕微鏡によるショウジョウバエの突然変異体の観察風景 | 透過型電子顕微鏡の説明 |
走査型電子顕微鏡による複眼のかたちの観察 | 遺伝子の構造を調べるDNA塩基配列決定装置の説明 |