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4月12日に開催される第18回応用生物若手自主セミナーで高野が発表します

 来る4月12日に開催される第18回応用生物若手自主セミナーで高野敏行が発表します。ご来場をお待ちしています。

日時 2013年4月12日(金曜日) 17時から(予定)
場所 2号館4階セミナー室
演者 高野敏行(ショウジョウバエ遺伝資源センター)
演題 生命システムの頑健性と脆弱さを探る

要旨
生命システムの特徴はその正確さと頑健さにあります。エラーを低く抑えるだけでなく、ノイズに対して頑健であることで正常な発生は保障されています。頑健性(ロバストネス)もまた、2つの要素で成立しています。ひとつは冗長性です。その最も単純な機構は遺伝子重複です。私達のゲノム中にもコピー数変異として知られる多型的な重複が数多く存在しています。私達はこの重複の生起率がゲノム比較から推定されるものより3桁高いこと、さらに生じた重複の運命、殊に集団に固定、維持される条件を明らかにしました。突然変異の多くが劣性であることの理由は自然淘汰によって冗長性が保たれていることにあるのかもしれません。2つ目の要素はノイズによって生ずる歪みやエラーを能動的に修復する機構です。初期胚の発生はまず前後と背腹の軸をつくることから始まります。ショウジョウバエの前後軸は母親から与えられたbicoidが作る前高後低の濃度勾配によって形成が始まります。人工的に6個のbicoid遺伝子をもった母親から生まれた胚は頭部が拡大し、尾部側が圧縮されたかたちになります。しかし、こうした撹乱にも関わらず成虫のアロメトリはほぼ正常です。これは拡大した頭部予定領域が過剰な細胞死で相殺、修復されているためです。しかし、どのような遺伝子が細胞死の引き金を引くのか、そもそもどうやって頭部が拡張したことを組織が、細胞がセンスするのかまったく分かっていません。私達はスクリーニングからこの組織の拡大によって起こる細胞死に関わる遺伝子を同定し、Mabikiと名付けました。この遺伝子はカスペース非依存的に、未分化の細胞に細胞死を誘導します。冗長な細胞死経路が頑健さの基盤を作っていると私達は考えています。
 実は、頑健さと裏腹に生命は脆弱さも併せ持っています。最後に、現在計画中の“脆弱さ”についての研究も紹介したいと思います。

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