第2回ナショナルバイオリソースプロジェクト     「ショウジョウバエ」運営委員会議事録 日時:2002年11月23日(土)14:00〜16:40 場所:京都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源センター 会議室 出席者:布山喜章(東京都立大学教授)、上村匡(京都大学教授)、 多羽田哲也(東京大学教授)、高野敏行(国立遺伝学研究所助教授)、 山本雅敏(京都工芸繊維大学教授)、 上田龍(国立遺伝学研究所教授)、松田宗男(杏林大学教授)、 和多田正義(愛媛大学助教授)、 原徳壽(オブザーバ、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課がん 研究調整官)、 大坪憲弘(オブザーバ、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課専 門官)、 都丸雅敏(オブザーバ、京都工芸繊維大学助手)、 石川均(オブザーバ、京都工芸繊維大学研究協力室専門員)、 森下直也(オブザーバ、京都工芸繊維大学研究協力室主任) 欠席者:木村正人(北海道大学教授)  議事に先立ち、布山委員長より、下記のように予定された議題と報告事項の 内容の関連性を考慮し、報告事項と議題とを相互に取り入れて議事進行させい たい旨の提案があり、了承された。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−                 記 予定された議題と報告事項 議題 1.平成15年度事業計画について 2.その他 報告事項 1.平成14年度事業進捗状況について 2.ゲノム解析事業について 3.その他                                  以上 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1.平成14年度事業進捗状況と平成15年度事業計画  山本委員より、下表に基づき、平成14年度事業進捗状況及び平成15年度 事業計画について説明があり、審議の結果、承認された。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 平成14年度事業進捗状況 京都工芸繊維大学   維持系統  6156            収集系統 約3700(インディアナ大学より基本系統)                  4992(都立大学よりGS系統)            情報発信 約4000系統の情報            系統提供 公開系統を提供 国立遺伝学研究所   維持系統 1166            収集系統 4275(GAL4 enhancer trap系統)                  500(RNAi系統:作製中のもの)            情報発信 5441系統の情報            系統提供 公開系統を提供 杏林大学       維持系統 320(アナナスショウジョウバエ類)            収集系統  35(カスリショウジョウバエ)                 128以上(アナナスショウジョウバエ自然集団)                 100(アナナスショウジョウバエ類近縁種20種)            情報発信 未公開(来年度公開予定)            系統提供 個別問い合わせによる対応 愛媛大学       維持系統 36種 230系統            収集系統 24種 60系統            採集系統 25種 70系統                 採集直後のため整理できていないもの複数            情報発信 未公開(来年度公開予定)            系統提供 個別問い合わせによる対応 系統分類講習会開催  日 時 11月2日〜4日(3日間)            場 所 京都工芸繊維大学                ショウジョウバエ遺伝資源センター            受講者 10名(受講希望者 19名)            講 師 3名(戸田、木村、高森)                補助メンバー 6名 ゲノム解析事業    BACライブラリー作成が採択された −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 平成15年度事業計画 京都工芸繊維大学  維持系統 14848(推定)           収集系統 2500(EU共同研究機構より)                 1200(piggyBac系統など)           情報発信 継続・発展・アップデート           系統提供 国際的分譲体制を確立し、分譲を開始する 国立遺伝学研究所  維持系統 5941(推定)           収集系統  500(RNAi系統、作製予定)           情報発信 継続・発展・アップデート           系統提供 国際的分譲体制を京都工芸繊維大学と統一し、                分譲を開始する 杏林大学      維持系統 583以上、染色体配列情報の付加、品質の向上           収集系統 アナナスショウジョウバエ                (北海道大学、筑波大学より移管)           情報発信 京都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源                センターから公開           系統提供 公開系統を提供する 愛媛大学      維持系統 約 400系統           収集系統 東京都立大学、北海道教育大学より移管           採集系統 国内各地より採集を継続           情報発信 京都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源                センターから公開           系統提供 公開系統を提供する 系統分類講習会   入門コース及びアドバンスドコースの2コースを開催する。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1)維持系統  京都工繊大と遺伝研で重複する系統、P因子(NP、GS、FRTなど)やpiggyBac の挿入位置が重複している系統の扱いについて議論があり、同じ因子の同じ遺 伝子への挿入の系統を重複して維持するよりは、むしろ、重複を排し、バラエ ティに富んだ系統を維持提供することが望ましいとされた。系統の選択につい ては中核機関に一任することも可能であるとの意見もあったが、個々の遺伝子 の複数alleleの扱いなどについての問題等もあり、収集を希望する系統数と維 持可能な系統数(京都工繊大15000、遺伝研5000)との兼ね合いがあるので、 維持可能な系統数に達する15年度の運営委員会でも協議することとした。 2)収集系統  EU共同研究機構より収集を予定している系統(FRT系統他)は京都工繊大で 維持、保存、提供してよいとの内諾を得ていること、piggyBac系統は開発途中 であり、論文は出ていないこと、両系統の系統数は確定していないことが、山 本委員より説明された。 3)情報発信  杏林大と愛媛大で維持している系統に関する情報は、今年度中にも公開すべ きこととされた。  近縁種については、提供系統を使った研究を提案できるような収集方針を提 示してもよいのではないかとの意見表示があった。  維持が難しい種については、採集情報の提供やアルコール標本の保存と提供 によりバイオリソースが拡大するとの発言があった。 4)系統提供  国際的な分譲体制、特に課金ならびに徴収制度が確立されれば、アメリカ合 衆国で毎年行われる Drosophila Conference での宣伝、FlyBase からのハイ パーリンク、ネットニュース bio.dros への投稿による、国際的な周知が可能 で、提供事業の拡大が考えられる。国際的な提供における問題点について意見 を交換した。  提供に当たってのMTAの取り扱いについて意見が交換され、公的資金の助成 により作製された系統については、京都工繊大と遺伝研の間で調整の上判断し、 行うことになった。  大坪オブザーバより、組み換えDNA実験指針にもとづき提供すべき旨説明が あった。  本年度内に本議題について議論する必要がある場合は、電子メールによる会 議を行うこととなった。 2.ゲノム解析事業について  本プロジェクトの公募の際は対象外とされていたゲノム解析事業に関し、京 都工繊大のウェブページ (http://www.dgrc.kit.ac.jp/jp/nbr/nbr_genome_status.html)で報告され ている内容について、山本委員より、公募と採択の経緯と現況につき、報告が あった。  ショウジョウバエ近縁種については、BACライブラリーの作成のみを行うと いう文部科学省の通達どおり、エンドシークエンスの決定は行われないことが、 原オブザーバおよび大坪オブザーバより説明があった。また、山本委員より、 平成15年度にはBACライブラリーの保存、提供事業を主として京都工繊大で 行う計画である旨報告があった。  委員から、エンドシークエンスの情報のない BACライブラリーではその有用 性に限界があるとの指摘があった。「平成15年度の事業にBACライブラリーの エンドシークエンスを加えられないか。」との質問が出され、文科省側から、 「次年度のゲノム解析の予算が絞られる傾向にあることと、事業を担当する遺 伝研と理研のキャパシティ を考慮する必要がある。」との回答があった。 3.その他  ナショナルバイオリソースプロジェクトの研究課題は、生物遺伝資源の収集、 維持、管理に関するものであった旨、大坪オブザーバより説明があった。  次年度以降、系統維持に必要な技術開発に関わる研究については推進できる ようにする方向で考えたいと山本委員より発言があった。  各委員は、本プロジェクトに対するショウジョウバエ研究者コミュニティか らリソースに関する意見を引き続き吸い上げる努力を行うこととなった。  大坪オブザーバより、運営委員会の性格について説明があった。  次回の運営委員会は来年度の早い時期に予定する。