第3回ナショナルバイオリソースプロジェクト      「ショウジョウバエ」運営委員会議事録 日時:2003年7月29日(火)17:50〜19:00 場所:こまばエミナース(東京都目黒区大橋2-19-5) 出席者:布山喜章(元東京都立大学教授)、上村匡(京都大学教授)、 木村正人(北海道大学教授)、多羽田哲也(東京大学教授)、 高野敏行(国立遺伝学研究所助教授)、 山本雅敏(京都工芸繊維大学教授)、 上田龍(国立遺伝学研究所教授)、松田宗男(杏林大学教授)、 和多田正義(愛媛大学助教授)、 藤田治人(オブザーバ、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課植 物研究係長)、 大坪憲弘(オブザーバ、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課専 門官)、 仁木雄三(オブザーバ、茨城大学助教授)、 都丸雅敏(オブザーバ、京都工芸繊維大学助手)、 森下直也(オブザーバ、京都工芸繊維大学研究協力課主任)  議事に先立ち、山本委員より、今年度も引き続き、布山委員に委員長をお願 いしたい旨の提案があり、了承された。 議題 1.平成15年度業務事業計画(案)について  山本委員より、資料に基づき、第2回運営委員会 (http://www.dgrc.kit.ac.jp/jp/nbr/meeting02-2.html)で承認された事業 計画を基盤として、今年度の申請を行ったこと、別立てに申請したBACライブ ラリーの保存と配付は、全て理化学研究所で行うこととなった点の説明があっ た。大坪オブザーバから、ゲノム解析事業はすべて理化学研究所と国立遺伝学 研究所で行っており、各プロジェクトから上ってきた事業を理化学研究所と国 立遺伝学研究所に委託している旨説明があった。BACライブラリーの保存と配 付機関について、大坪オブザーバが確認することとなった。審議の結果、平成 15年度業務事業計画が承認された。  山本委員より、来年度の申請について、次の運営委員会までに、コミュニティ からの意見の吸い上げを各運営委員にお願いしたいとの依頼があった。多羽田 委員から、イェール大学のリン クーリー(Lynn Cooley, Yale University, USA)から、プロテイントラップ系統の維持について問い合わせを受けたとの 報告があり、山本委員から、すでに別ルートからの問い合わせに対し受入れ準 備を行っている所であり、ショウジョウバエ遺伝資源センターで受入れる方向 で検討する旨回答があった。 2.その他  上田委員から、本プロジェクトの事業ではないとしながら、三菱化学生命研 究所の故三宅博士が作製した、ショウジョウバエの培養細胞が、アメリカ合衆 国の培養細胞バンクに移管され、来年1月より公開予定である旨報告があった。 この培養細胞の提供においては、三菱化学生命研究所のMTAが必要とされると の説明があった。 報告事項 1.ゲノム解析事業について  山本委員より、2002年1月8日にバイオリソースプロジェクトの申請に向けて の会議の際に議題にのぼったBACライブラリーとSNPsについて、バイオリソー スプロジェクトの申請では、審査の際に削除されたが、遺伝資源としては重要 であるとの判断から、後日公募されたゲノム解析事業に応募した。その結果、 BACライブラリーの作製のみ採択されたことの説明があった。また、2003年度 ゲノム解析事業にBACライブラリーのエンドシークエンスの申請をしたところ、 部分的採択の通知を受けた旨報告があった (http://www.dgrc.kit.ac.jp/jp/nbr/200308oshirase.html 参照)。  エンドシークエンス決定が部分的に採択された事について質疑があり、どの 種を対象とするかについては未決定であることが山本委員より説明された(そ の後の経緯は、http://www.dgrc.kit.ac.jp/jp/nbr/200308oshirase.html に 掲載のとおりである)。山本委員より、BACライブラリーのほか、fosmidライ ブラリーの作製も依頼していることが説明された。また、山本委員より、今後 は、BACライブラリーのエンドシークエンスよりはむしろ全塩基配列が重要で はないかとの指摘があった。  アメリカ合衆国のゲノム解析事業に関する意見の交換があった。米国国立衛 生研究所(National Institute of Health, NIH)でどのような議論が行われ ているかまだ明確ではないことが山本委員より報告された。D. pseudoobscura のゲノム解析はほぼ終了していること、white paper (http://flybase.org/.data/news/announcements/WhitePaper.html)では、 D. yakuba、D. simulansを最優先としていること、米英の研究者にとっては、 日本がゲノム解析を行うならば、D. ananassae、montium種亜群が妥当ではな いかとの意見があったことを伝えた。松田委員から、系統関係の遠近から選ぶ 方法と研究に使われている種から選ぶ方法とのふたつの方法があるとの意見が あった。  大坪オブザーバから、来年度のゲノム解析については、実施される保証がない こと、毎年、財務省から予算を減額するよう圧力があること、また、ゲノム解析 事業はバイオリソースプロジェクトの全体予算の中の一部分として実施している ため、ゲノム解析事業の割合が増えすぎると、バイオリソースの保存、維持、提 供事業のための最低限の予算を下回る可能性があり、保存、維持、提供事業が破 綻する危険性も考えられるとの説明があった。 2.その他  成果報告書を文部科学省に提出したことが報告された。  8月23日(土)〜25日(月)と11月1日(土)〜3日(月)に分類講習会を行 うとの報告があった。運営委員広報担当委員に参加者の募集に尽力してほしい 旨依頼があった。  京都工芸繊維大学では、GS系統の公開をしたこと、愛媛大学の系統の公開を したこと(http://kyotofly.kit.jp/ehime/)の報告があった。