京都工芸繊維大学

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第6回 運営委員会 議事録

日 時: 2004年 9月 4日(土)14:00〜17:00
場 所: ぱ・る・るプラザ京都
京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番地13
出席者: 布山 喜章 (元東京都立大学教授)、上村匡(京都大学教授)、
木村 正人 (北海道大学教授)、高野敏行(国立遺伝学研究所助教授)、
多羽田哲也 (東京大学教授)、山本雅敏(京都工芸繊維大学教授)、
上田  龍 (国立遺伝学研究所教授)、松田宗男(杏林大学教授)、
和多田正義 (愛媛大学助教授)、
山崎由紀子 (オブザーバ、国立遺伝学研究所助教授)、
都丸 雅敏 (オブザーバ、京都工芸繊維大学助手)、
岡井  巧 (オブザーバ、京都工芸繊維大学研究協力課係長)、
森下 直也 (オブザーバ、京都工芸繊維大学研究協力課主任)
欠席者: 村松  学 (オブザーバ、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課)、
小牧 靖昌 (オブザーバ、京都工芸繊維大学研究協力課主査)



議題:
1.今年度の実施計画について

平成16年度事業計画について、資料に基づき、山本、上田、和多田、松田各委員より説明があり、審議の結果、今年度の実施計画が承認された。併せて報告された今年度の進捗状況の中で、各機関とも国内よりも国外への提供実績が多いとの説明があった。

実施計画に関連し、以下のような議論や質疑があった。

・トランスポゾン挿入系統を将来どのように扱うかについて意見交換があった。 挿入位置だけでなく、用途(ベクター)によって系統を選別する基準が変わるので、(日本のコミュニティとして)どう選ぶが考える必要があると上田委員より指摘があった。世界のショウジョウバエコミュニティの状況と京都工芸繊維大学で維持可能な系統数とを考えながら、NP系統やGS系統(など国内で開発された系統)については、コアとなる系統は維持すべきであるとの意見が複数の委員からあった。系統維持可能数(capacity)を維持や提供にかかる業務の合理化から決定することにより、京都工芸繊維大学で国内開発系統、NP、GS、RNAi系統の一括維持管理は可能となる旨山本委員から提案があった。(コアとなる系統とは何か?またこの選択は運営委員会で行うのかについての議論は行われなかった)
・ナショナルバイオリソースプロジェクトが終了した後も、現在の系統数を維持できるかどうか多羽田委員から質問があり、本プロジェクトの援助がなければ現在の系統数の維持は不可能であるとの回答が山本委員よりあった。さらに、本プロジェクトの継続の必要性について確認した。

・課金について質疑があり、課金による収入は、系統維持費の一部として考慮できるまでにはならないが、ブルミントン系統センターと同程度の系統提供数になった場合、事業の一部予算として考慮できる程度の金額になること、また文部科学省からも課金体制の整備が求められている点についての説明が山本委員からあった。上村委員から、提供に関わる部分の増加に対する事業展開の困難と問題点について質問があったが、出来るだけ多くの提供実績を上げる方が、課金体制が整ってきた場合には事業展開が容易ではないかとの見方の説明があった。森下オブザーバより、京都工芸繊維大学における課金の整備状況について、現在学内規定を作成中であり、年度内には規定を施行し、来年度早々には課金できるようにする予定であるとの説明があった。課金の実施体制について上田委員より質問があり、各ユーザに対する課金金額の算定などは本プロジェクトで行い、料金の徴収は京都工芸繊維大学財務課で行う予定であると聞いている旨山本委員から回答があった。

2.将来計画について

文科省 新世紀重点研究創世プラン「ナショナルバイオリソースプロジェクト」のナショナルバイオリソースプロジェクト評価委員会による評価結果(参考資料)に基づき、本プロジェクトが平成18年度で終了するが、平成19年度以降も継続できるように文科省に認めていただくための計画について議論したい旨山本委員より説明があった。

特に評価内で指摘されている、以下の点で議論が行われた。なお、本議題は承認を必要とするものではない(委員長)。

・MTAの取り扱いについて:
 現在、維持提供している系統は、提供にあたってMTAを取り交わす必要はないが(山本委員)、国立遺伝学研究所から提供する予定のRNAi系統は作製費用の一部を三菱科学生命研究所から援助を受けているので、提供にあたってMTAを交わす必要があることが説明された(上田委員)。科学研究費補助金によって作製された系統も今後MTAが必要となる可能性がある旨多羽田委員より指摘されたが、現在はそのようになっていないと上田委員より説明があった。

・情報発信などについて:
 コミュニティへの情報公開と要望の吸い上げをより効果的に行うために、ショウジョウバエ遺伝資源センターとNBRPによるサブ機関を含めた活動を広報する方法について議論があった。現在の維持系統数や提供系統数など具体的活動をDGRCやNBRPのホームページで知らせるとか、Jflyメーリングリストに送信するなどの意見があった。また、日本ショウジョウバエ研究会や各学会などでシンポジウムを開催するなどにより宣伝をしていくと山本委員より回答があった。

 論文のacknowledgementsに書いてもらうことや出版された論文を送ってもらうなどの業績を集める必要があるとの意見が上村委員からあった。また、このような業績集めへの協力依頼をJflyメーリングリストを通して上村委員より行う旨発言があり、業績は京都工芸繊維大学へ集約することになった。この際に、外部資金への申請時にNBRPやショウジョウバエ遺伝資源センターで維持している系統を利用するような研究計画を盛り込んで頂く事も重要であるとされた。

 多羽田委員からGS系統やRNAi 系統は科学研究費補助金の特定研究「統合ゲノム」のような大規模資金によって作製されたが、本プロジェクトがあることによって系統が維持提供され、研究に役立っている状況について発言があった。

国際的位置づけ:
 外国からの系統の提供依頼が増加している事から、国際的な認知度は高まっている。また、国際的系統維持機関として考慮されるようになっている事の説明があった(山本委員)


3.講習会の計画について

本議題は承認を求めるものでない(委員長)。

 分類講習会以外の講習会について、どのようなニーズがあるかコミュニティに尋ねたいと上田委員より意見があり、Jflyメーリングリストなどを通じて講習会のニーズを探ることになった。山本委員より最新鋭の特殊な顕微鏡を使った講習会の実施の可能性について説明があった。


4.その他

本プロジェクトの継続について:
 生物を扱うプロジェクトの性格上、継続されるべきでプロジェクトであるが、厳しい状況であるとの認識を得た。

本プロジェクトはゲノム関連の研究と関わりがあるため、継続の有無はゲノム関連の研究に大きな影響を与えるとの指摘が、上村、上田両委員よりあった。本プロジェクトに依存する他のプロジェクトがあることを示すことが重要であると多羽田委員から指摘あった。研究の申請のときに本プロジェクトを利用することを明記するようになるとよいと山本委員より意見があった。本プロジェクトを利用している研究情報を集める必要があるとの指摘が上村委員よりあった。そこで、研究題目、金額等を中核機関に集約するよう、上村委員よりコミュニティに依頼することになった。


報告事項:

1.第4回分類講習会報告

参加者10名があり、そのうち関東から9名の参加であったため、関東で講習会を行った目的を果たしたとの報告が松田委員よりあった。今回は入門コースは最後の講習会であるとアナウンスして参加者を募集したが、参加者の中からは入門コースの継続を希望する意見があったと松田委員より報告された。


2.ゲノム解析事業について

BACライブラリの作製の進捗状況について、資料に基づき山本委員より説明があった。BACライブラリの配付方法について上村委員より質問があり、BACライブラリ配付のための予算がついていないため、ゲノム単位ではなく、クローン単位での提供を行う予定であると山本委員より説明があった。有償かどうかについて松田委員より質問があり、有償で配付するため積算根拠を作成している旨山本委員より説明があった。


3.データベースの改訂作業について

情報中核機関で作成途中の統合検索データベースの説明が山崎オブザーバよりあった。将来的にはP因子の挿入位置が統合されるよう多羽田委員から要望があった。FlyBaseからのリンクのために、京都工芸繊維大学の系統リストをAshburner教授(イギリス・ケンブリッジ大学)に渡したことが山本委員より報告された。

BACライブラリとの関連について高野委員より質問があり、理化学研究所(BAC ライブラリ作製機関)が作成したデータベースの公開が先になると山本委員より説明があった。


4.その他

本プロジェクトがアメリカ合衆国やヨーロッパの研究者コミュニティにどれくらい知られているのか木村委員より質問があり、FlyBaseのトップページからリンクがあるとの回答が山本委員よりあった。また、今年度は昨年度に比べて国外からの提供依頼が増えていることから、ある程度以上の認知はなされているであろうことが複数の委員から指摘された。

以上

資 料
1.平成16年度事業計画
第4回運営委員会で承認された内容に基づき、平成16年度事業計画を立案した。
機関 事業項目 平成16年度計画と現況
京都工芸
繊維大学
系統の維持 目標:18,000系統
実績:16,184系統
現在:
GS系統、Protein Trap系統の検疫完了、提供体制整備完了
LA系統の検疫終了、提供体制整備中
系統維持・管理業務の合理化作業(20,000系統維持に向けて)
(大学の雇用規則に基づく長期プラン)
系統の収集 目標:2,000系統、実績:63系統
現在:
当初計画していたExelixis系統に代えて、BDGP、FRT系統の寄託依頼を検討中
国立遺伝学
研究所
系統の維持 目標:6,000系統
実績:5,000系統
現在:
今年度RNAi1,000系統を加える
系統の収集 500  RNAi系統追加整備
愛媛大学 系統の維持 目標:430 系統 55種
実績:420系統 52種
ショウジョウバエの採集 飼育困難な系統の採集 → アルコール漬け
(4種:4系統)
杏林大学 系統の維持
(計 482 系統)
目標:520系統
実績:482系統
カスリショウジョウバエ
34 突然変異; 2 野生型
アナナスショウジョウバエ類
400 突然変異・野生型
キイロショウジョウバエ類
11 突然変異; 5 野生型
カオジロショウジョウバエ類
20 突然変異; 10 野生型
系統の収集 目標:38系統
実績:26系統
 アナナスショウジョウバエ類
北海道大学、ノースカロライナ大学より収集予定
ハシリショウジョウバエ属
北海道大学より収集予定
業務 研究機関 平成16年度計画と現況
系統の提供 京都工芸繊維大学 実績:5,328系統(4月〜7月)
・国際的認知度の向上を図る(Drosophila Conferenceでのアピール)
・継続して提供
・手続きの合理化
・課金体制の確立を予定
国立遺伝学研究所 実績:1,327系統(4月〜7月)
・継続して提供
・課金体制の考慮
愛媛大学 実績:67系統(4月〜8月)
・継続して提供
・アルコール標本での提供準備
杏林大学 実績:61系統(4月〜7月)
・継続して提供
・染色体配列情報の付加
情報発信 京都工芸繊維大学 現在:DGRC系統リストの公開と提供依頼システムによる運用
    サブ機関の系統リストも公開
・継続・発展・アップデート化
・検索の高速化
・全機関の系統リストをまとめて公開
国立遺伝学研究所 現在:系統リストとGETDBの公開。京都工繊で系統リストの公開
・RNAiのデータベース化
・アップデート化
愛媛大学 現在:愛媛大学と京都工繊で系統リストを公開
・アップデート化
・日本産ショウジョウバエの画像データ(目標55種、実績40種)
杏林大学 現在:京都工繊で系統リストの公開
・アップデート化(染色体情報を付加)
支援と啓蒙 京都工芸繊維大学

共同研究機関
・データベースの統合化を図り、検索、提供の効率化を計る 遺伝研総合情報センターとの共同開発中(ショウジョウバエ統合検索システム)
・系統分類講習会
 アドバンスドコースを京都工芸繊維大学にて開講
 2004年10月31日〜11月2日
・関東での入門コース開講
 2004年8月7日〜9日 杏林大学医学部で開催
・その他の講習会の開催を計画


2.ゲノム解析事業について
 「ショウジョウバエBACライブラリーの作成およびエンドシークエンスの決定」

経過:
2003年8月29日
対象ショウジョウバエ種とそのクローン数
(DGRCニュースとしてJflyを通じて公表)

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キイロショウジョウバエ   7500クローン
カオジロショウジョウバエ  7500クローン
オナジショウジョウバエ   10000クローン
セイシェルショウジョウバエ 10000クローン
アナナスショウジョウバエ  10000クローン
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2004年6月10日
エンドシーケンス終了

キイロショウジョウバエの配列データに基づくブラスト解析。その結果は理研
のサーバーに蓄積。現在分析が進行中でデータは近日公開される。

ショウジョウバエ遺伝資源センターにBACライブラリーを寄託し保存、配布の
予定
ライブラリーはオリジナル、コピー3を作製した。
組換えDNA実験申請書に関する事務処理が完了後、ショウジョウバエ遺伝資源
センターに送付予定。

情報公開とクローンの配布について現在検討中




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