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第12回ナショナルバイオリソースプロジェクト「ショウジョウバエ」運営委員会議事録

第12回NBRP「ショウジョウバエ」運営委員会議事録(PDF)ファイルサイズ約464Kb
  日 時:2007年 9月 4日(火)午後 3時00分~午後 5時30分
  場 所:京都工芸繊維大学 学道会館小研修室(嵯峨キャンパス)
 出席者:
  多羽田 哲也 (東京大学 教授)
  木村 正人 (北海道大学 教授)
  澤村 京一 (筑波大学 講師)
  高野 敏行 (国立遺伝学研究所 准教授)
  西田 育巧 (名古屋大学 教授)
  松浦 悦子 (お茶の水女子大学 教授)
  山本 雅敏 (京都工芸繊維大学 教授)
  上田 龍 (国立遺伝学研究所 教授)
  和多田 正義 (愛媛大学 准教授)
  松田 宗男 (杏林大学 教授)
  松尾 淳 (オブザーバ、文部科学省 ライフサイエンス課専門官)
  吉原 剛 (オブザーバ、国立遺伝学研究所 NBRP事務局長)
  山崎由紀子 (オブザーバ、国立遺伝学研究所 准教授)
  草野 好司 (オブザーバ、京都工芸繊維大学 特任教授)
  松林 宏 (オブザーバ、京都工芸繊維大学 特任准教授)
  井上 喜博 (オブザーバ、京都工芸繊維大学 講師)
  都丸 雅敏 (オブザーバ、京都工芸繊維大学 助教)
  志賀 均 (オブザーバ、京都工芸繊維大学 研究協力課長)
  河原 政博 (オブザーバ、京都工芸繊維大学 研究協力課主査)
  林 徹 (オブザーバ、京都工芸繊維大学 研究協力課主査)

 欠席者:
  松崎 文雄(理化学研究所 グループディレクター)

議  題:1.委員長選出
     2.平成19年度業務事業計画について
     3.ゲノム情報等整備プログラムについて
     4.基盤技術整備プログラムについて
     5.その他
報告事項:1.アメリカ合衆国におけるUSDA permitについて
     2.その他
以上

委員長選出に先立ち、松尾オブザーバより、資料にもとづき、ナショナルバイオリソースプロジェクトの概要と運営委員会の位置付けの説明があった。ゲノム情報等整備プログラムおよび基盤技術整備プログラムを設け、中核的拠点整備プログラムの目的が明確になった。


1.委員長選出

多羽田委員が委員長に選出された。


2.平成19年度業務事業計画について

山本委員から、資料にもとづき、第1期ナショナルバイオリソースプロジェクト「ショウジョウバエ」の総括のあと、平成19年度業務事業計画の概要説明があり、基本的には、第1期の世界最大規模の系統維持と系統品質の向上である点が強調された。

次に機関毎の説明があった。

2−1.京都工芸繊維大学(山本委員)

第1期に引き続きGS系統を2,000系統収集したが、さらに、米国Stanford大学Luo教授より、PiggyBac-FRT-DsRed系統(2,600系統)の寄託の申し入れがあるので、本委員会にて意見を頂戴したいとの発言があった。受け入れ後の系統の選択の可能性を示し、寄託系統の収集が望ましいことで承認された。

これに加え、DrosDel系統の収集を検討する件についても承認された。


2−2.国立遺伝学研究所(上田委員)

RNAi系統をさらに整備・収集する予定はないこと、課金システムが本年5月より稼働したことの説明があった。また、RNAi系統の提供に際しては、MTA(生物遺伝資源移転契約)が必要である旨の説明があった。4月よりBarry Dickson教授のRNAi系統センター(オーストリア)がオープンしたとの情報提供があった。これに対し、多羽田委員長より、系統の擦り合わせの有無について質問があり、まだ行っていない旨上田委員より回答された。


2−3.愛媛大学(和多田委員)

第1期では日本産としていたが、第2期では「日本産」の文言を外し、引き続き野生系統の収集を行うという説明が承認された。収集の中でも重要な点として、採集地、採集年などが不明な系統を廃棄し、採集情報が明確なものに置き替える計画が承認された。

多羽田委員長より、分類講習会の予定が質問され、隔年開催を予定し、今年度は開催しない旨、和多田委員より回答があった。


2−4.杏林大学(松田委員)

昨年度に引き続き、近縁種突然変異系統の収集、維持、提供を行う。今年度は、特に、D. hydei(カスリショウジョウバエ)とD. virilis(クロショウジョウバエ)の突然変異系統を収集する。また、系統の品質向上のため、連鎖群と染色体との対応づけを行う旨説明があり,承認された。

12ゲノムプロジェクトで使用されている種の輸入と配布には、植物防疫所の審査が必要であったので時間がかかった.現在は大きな問題がなくなったので、これらの系統を公開し、提供を開始している旨報告があった。


2−5.その他

山本委員からNBRP「ショウジョウバエ」として課金体制を統一する計画が報告された。

ユーザ負担に関する議論があり、ユーザ負担はリソースによる習慣の違いもあることから一概には結論が出せないとの発言があった。また、ユーザ負担については運営委員会で議論していただくのが望ましいと松尾オブザーバより発言があった。

リソースを利用した論文等のフィードバック(報告)の方法などについて議論した。系統毎に利用した論文がわかるとよいとの意見が澤村委員よりあり、これに対し情報中核では論文を登録するシステムを作成しており、リソースセンターのデータベースと接続する予定であると山崎オブザーバより発言があった。木村委員よりフィードバックを有効に働かせるためには、系統手数料の割引きのような仕組みがあるといいかもしれないとの意見があった。山本委員から寄託系統に寄託者の論文を参考に掲載する方法を準備しており、寄託に向けたインセンティブを考慮している旨報告があった。フィードバックにも応用できる手法である。多羽田委員長よりインセンティブをどのように作るか難しいが、運営委員会も努力すべき点であると発言があった。松田委員より、論文の情報が集まっても、系統の重要性は利用した論文の数だけで評価すべきではないとの意見があった。


3.ゲノム情報等整備プログラムについて

上田委員より、資料にもとづき、プログラム計画の説明があり、承認された。松尾オブザーバより、本プログラムは、単年度のプログラムであり、文部科学省では毎年の公募を予定していると発言があった。


4.基盤技術整備プログラムについて

山本委員より、資料にもとづき、プログラム計画の説明があり承認された。


5.その他

なし

報告事項

1.アメリカ合衆国におけるUSDA permitについて

山本委員より、資料にもとづき米国農務省では輸入許可手続きを厳しくする計画があること、特に、piggyBac因子が天然の害虫(ガ)にあることを理由にpiggyBac因子の挿入したショウジョウバエを害虫と同等の厳しさの制限を行う計画があり、これに対して、Drosophila Boardが反対の意見書を提出しているとの紹介があった。


2.その他

山崎オブザーバから、資料にもとづき、情報中核で作成中の4機関の統合データベースの紹介があった。URLとして「dgrc.jp」を取得した旨報告があった。統合データベースの名称をこれまでのFlyStockからDGRCへ変更することに対し、委員の同意があった。

以上

中核的拠点整備プログラム
委託業務の題目「ショウジョウバエ遺伝資源の収集・総合的維持管理・提供」

平成19年度業務事業計画

機関 事業項目 2007年度計画と現況
京都工芸繊維大学
系統の維持 目標:21,000系統
現況:20,255系統(2007年8月末現在)
系統の収集 目標:4,600系統(国内2,000、国外2,600)
内訳: GS系統__2,000系統
・PiggyBac-FRT-DsRed系統__2,600系統
(Luo教授 Stanford大 USA)
DrosDel系統の収集計画を検討する
系統の提供 目標:400件(10,000系統)
(国内160件(4,000系統)、国外240件(6,000系統))
現況:308件(6,458系統)(2007年8月末現在)
(国内120件(1,391系統)、国外188件(5,067系統))
その他 ・データベースの整備
・系統特性の観察や分析による系統の品質管理
・プロジェクトの総合的推進
国立遺伝学研究所
系統の維持 目標:13,000系統
現況:13,000系統(2007年8月末現在)
系統の収集 目標:0系統(国内0系統、国外0系統)
系統の提供 目標:200件(5,000系統)
(国内50件(1,200系統)、国外150件(3,800系統))
現況:141件(5,616系統)(2007年8月末現在)
(国内30件(1,156系統)、国外111件(4,460系統))
その他 RNAi系統情報のデータベース化と課金システムの導入
愛媛大学 系統の維持 目標:720系統
現況:628系統(2007年8月末現在)
系統の収集 目標:230系統(国内150系統、国外80系統)
内訳:日本産10種150系統、外国産43種80系統
系統の提供 目標:35件(500系統)
(国内25件(350系統)、国外10件(150系統))
現況:10件(155系統)(2007年8月末現在)
(国内7件(48系統)、国外3件(107系統))
その他 系統情報のデータベースの作成と公開
杏林大学 系統の維持 目標:650系統
現況:620系統(2007年8月末現在)
系統の収集 目標:30系統(国内20系統、国外10系統)
内訳:D. virilis突然変異系統、種間モザイク系統
系統の提供 目標:20件(200系統)
(国内10件(100系統)、国外10件(100系統))
現況:6件(39系統)(2007年8月末現在)
(国内4件(37系統)、国外2件(2系統))
その他 ショウジョウバエ近縁種における突然変異の相補性と連鎖決定およびその情報公開

ゲノム情報等整備プログラム
委託業務の題目「系統の品質管理にむけたゲノム・特性情報整備」

平成19年度業務事業計画

機関 事業項目 2007年度計画
国立遺伝学研究所
RNAi系統の特性情報取得
・40系統のノックダウン効率測定
・40遺伝子のOff-Target効果測定
京都工芸繊維大学
キイロショウジョウバエ/同胞種のSNP解析
・ 40系統からゲノム100カ所の〜1kb断片増幅 
_ 4,000サンプルの2方向シーケンス=8,000ラン
杏林大学
キイロショウジョウバエ近縁種(auraria/ananassae)のSNP解析
・ 40系統からゲノム50〜100カ所の〜1kb断片増幅
_ 4,000サンプルの2方向シーケンス=8,000ラン
愛媛大学
ショウジョウバエ60種200系統のSNP解析
・ 200系統からゲノム1カ所(Adh) 〜 1kb断片増幅
_ 200サンプルの2方向シーケンス=400ラン
・ 200系統からミトコンドリアゲノム1カ所(COI)
〜 1.3kb断片増幅 
_ 200サンプルの4方向シーケンス=800ラン
・ 200系統からrDNA1カ所(ITS領域)をクローニング 
_ 1,000サンプルの2方向シーケンス=2,000ラン

基盤技術整備プログラム
委託業務の題目「ショウジョウバエ系統の長期安定保存技術の開発」

平成19年度業務事業計画

機関 事業項目 2007年度計画
京都工芸繊維大学
①顕微授精の基礎研究 顕微授精に用いる受精能を有し、しかも同じ時間齢の未受精卵を採卵する技術を向上させる。
②顕微授精技術の開発研究 精子は2mmと非常に長く単離することは困難であるため、授精に必須であると考えられる頭部のみを効率良く採取する方法として、超音波ホモジェナイザーで精子を裁断し遠心分離などによる機械的な頭部の分離技術および蛍光標識した精子頭部の顕微鏡下での摘出などの技術を開発・試行する。精子頭部の摘出や卵への注入などミクロ単位の作業に固定角のマニピュレーターを使用する。また、顕微鏡TVカメラで顕微授精過程を画像で記録し、技術開発検討資料とする。
③精子のプロテオミクス解析 ショウジョウバエに特徴的な長い精子全体が卵に進入し受精に至るため、精子尾部が受精に不可欠である可能性が残されている。受精における精子の必須部位の特定を目的として、サーモプレートでショウジョウバエを低温麻酔した状態で、成熟精子を雌雄の貯精嚢から摘出し、精子頭部と尾部を分割して、それぞれ2次元電気泳動等でタンパク質を分離しプロテオミクス解析の試料調整を開始する。
④精子の凍結保存 顕微授精技術が応用可能な技術として開発が進むと、生きた精子ではなく、凍結精子を用いた顕微授精技術の開発が必須である。それに向けて、液体窒素による保存を試行し、定期的に取出し、精子の物理的破損部位等の観察を開始する。
⑤プロジェクトの総合的推進 ショウジョウバエの精子を顕微授精で卵に注入し受精させ発生を開始させる技術の開発を行う。ショウジョウバエ特有の生殖細胞の性質から、受精能を有する未受精卵の採卵技術、精子頭部の顕微注入、精子のプロテオミクス解析、精子の凍結保存などを推進し、ショウジョウバエの受精機構を解明しながら、ショウジョウバエ系統の維持に関する技術の開発研究を推進する。


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