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第17回 公開セミナー


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第17回 公開セミナー

日時:2005年12月20日(火)14時00分~16時30分
場所:京都工芸繊維大学 総合研究棟4階 多目的室 (案内地図)
参加資格:不問(予約は必要ありません)


 谷 村 禎 一 氏
 九州大学大学院理学研究院生物科学部門

 演題:『ショウジョウバエの味覚と摂食行動の行動生理学』

 要旨: 摂食、求愛、産卵場所の選択な どの昆虫の行動において味覚は重要な役割を果たしている。ショウジョウバエの外部味覚器は、口部の唇弁と肢の先端にあるフ節にある毛状の感覚子である。1 本の感覚子には、2個か4個の味細胞(S, W, L1, L2)があり、感覚子の先端と脳に突起と軸策を伸ばしている。電気生理学的記録、行動テストの結果から、ショウジョウバエの味覚世界が明らかになってき た。個々の味細胞は糖(S)、塩(L1, L2)、水(W)、苦味物質(L2)に反応する。高濃度の塩と苦味物質は同じL2味細胞で受容される。糖と水と低濃度の塩は好ましい味と判断され、高濃度 の塩と苦味物質は忌避すべき味と認識される。味細胞でどのように味が受容され、脳に伝えられるのかについて、生理、分子、細胞レベルの研究を紹介する。


 松 尾 隆 嗣 氏
 首都大学東京都市教養学部生命科学コース

 演題:『ショウジョウバエにおける寄主選択行動進化の遺伝的基盤』

 要旨: セイシェルショウジョウバエはキイロショウジョウバエから見て最も近縁な種の一つであり形態的にはとてもよく似ているにもかかわらず、その食性は一風変わっている。 すなわち、悪臭を放つことで知られる「タヒチアン・ノニ」の果実を繁殖場所としているのである。
この悪臭の主成分はヘキサン酸とオクタン酸であるが、キイロショウジョウバエやオナジショウジョウバエはこの2つの脂肪酸を忌避するのに対し、セイシェルショウジョウバエだけは誘引される。 種間雑種を用いた遺伝学的マッピング、およびキイロショウジョウバエにおける遺伝子ターゲティング法により、ヘキサン酸に対する反応の種間差異をもたらす原因遺伝子座として Odorant binding protein57e を同定した。 Obp57e は Obp57d と共にク ラスターを形成しており、化学感覚毛に付随する同一の細胞で共発現していることが知られている。 キイロショウジョウバエの近縁30種からこの領域のゲノム配列を決定し比較した結果、Obp57d/eクラスターのダイナミックな進化の様子が明らかになった。 昆虫の食性の進化をもたらす遺伝的基盤について考えたい。

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