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国内セミナー情報【2011年3月】

春本 敏之氏のセミナー
日時 : 2011年3月8日(火) 16:00-
場所 : 産業技術総合研究所 つくばセンター中央第6事業所 S6-1棟2F 214室(旧所議室) (アクセスMAP)
演題 : 器官のグローバルな非対称性と一細胞の極性を結びつける機構の解明
内容 :   多細胞体の構築において、それぞれの細胞は、所属する器官あるいは組織の非対称な空間情報に従って、平面内細胞極性 (planar cell polarity; PCP) を発達させる。例えば哺乳類では内耳有毛細胞や気管上皮細胞など様々な組織で見られ、この極性の獲得が生体内機能の発現に重要である。ショウジョウバエの翅を用いた研究から、このモデル系においては少なくとも二つの分子群が PCP 形成を制御することが明らかになっている。その一つは、細胞の遠位側あるいは近位側に局在するコアグループタンパク質群であり、Frizzled (Fz) や Flamingo (Fmi) が含まれる。第二のグループには、非典型的カドヘリン Dachsous (Ds) と Fat (Ft) が含まれる。後者の分子群は、コアグループタンパク質群より早期に機能し、翅の遠近軸に沿ったグローバルなパターン情報を与えると考えられている。
 近年我々はコアグループタンパク質の非対称な局在化の仕組みに注目している。これまでに、翅の表皮細胞内に遠近軸に沿った微小管が存在することを発見し、Fz や Fmi を含む小胞 (Fz-Fmi 小胞)がそれらの微小管に沿って遠位側細胞境界へと極性輸送されるモデルを提出した(Shimada et al., 2006)。しかしながら、依然として以下の2つの問題が明らかにされていない。(1)どのようにして微小管は翅の遠近軸に沿って配向するのか。(2)なぜ Fz-Fmi 小胞は遠位側境界にのみ選択的に輸送されるのか。これらの問いに答える目的で、生体内経時観察により微小管の時空間的ダイナミクスを解析した。野生型をはじめ、様々な PCP 制御因子の機能欠損や過剰発現のもとで解析した結果、Ds-Ft 経路が微小管の遠近軸に沿った配向と、微小管極性の僅かな非対称性の双方を制御する可能性が示唆された。これらの結果および、Fz 小胞の挙動解析のデータをもとに、微小管を介した輸送が、器官のグローバルな非対称性と細胞極性を結びつける可能性について議論したい。
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