Department of Drosophila Genomics and Genetic Resources Center for Advanced Insect Research Promotion
Kyoto Institute of Technology
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第29回ショウジョウバエ遺伝資源センター公開セミナーのご案内

Posted in センター活動,教育・研究 on July 14,2014

ショウジョウバエ遺伝資源センターでは、杏林大学の粟崎健博士をお招きし、下記の要領で公開セミナーを開催します。


粟崎さんは神経とグリア細胞の相互作用に着目して、神経回路の形成機構の解明と形成過程に潜む基本原理の発見を目指しています。杏林大学で独立後は、行動や生理といった高次表現型と回路網の進化の関係性の解明まで視野を入れた研究を行っています。複雑な脳をいかに単純化、モデル化して解明するか、系統だった、そして挑戦的な研究をお楽しみください。


粟崎さんの研究に興味ある方はぜひ、下記の参考論文をご一読ください。


多数の皆様のご来聴をお待ち致しております。


日時:2014年 7月23日(水)午後3時から5時
場所:京都工芸繊維大学松ヶ崎キャンパス総合研究棟4階多目的室
(京都市左京区松ヶ崎御所海道町)
講演者: 粟崎 健 博士 (杏林大学 医学部 生物学教室)
タイトル:ショウジョウバエ種群を用いた、神経幹細胞の発生プログラムと脳神経回路網の進化的解析に向けて


要旨: 多様な行動を示す昆虫種群は、脳の構造ならびに脳神経回路網も極めて多様である。こうした昆虫の脳を構成する神経細胞は、決まった数の少数の神経幹細胞から誕生する。一つの神経幹細胞から誕生する子孫神経細胞は、クローナルユニットと呼ばれる脳神経回路の機能モジュールを作っており、各個体の脳はクローナルユニットの複合体として形成されている。また、クローナルユニットを構成する神経細胞の数、種類、バースオーダーは遺伝的に厳格にプログラムされていることが、キイロショウジョウバエを利用した解析から示唆されている。以上より、昆虫種間における脳構造の違いは、神経幹細胞におけるクローナルユニットの発生プログラムの改変によりもたらされたことが予想できる。言い換えれば、神経幹細胞の発生プログラムの進化が行動の進化をもたらしたと考えることができるのである。私たちは、この問題に挑むため、0.5億年の間に進化したショウジョウバエ属(Genus Drosophila、約2000種を含む)に注目し、クローナルユニットの多様化(進化)と行動の多様化(進化)の関連を解き明かそうと考えている。本セミナーでは、私たちが最近発表したクローナルユニットの新規の解析システムについて概説するとともに、これを応用した神経幹細胞の発生プログラムの進化的解析計画について紹介する。


参考論文
Yu H.H., Awasaki T., et al., Clonal development and organization of the adult Drosophila central brain. Curr. Biol. (2013) 23: 633-643 Text
Awasaki T., et al., Making Drosophila lineage-restricted drivers via patterned recombination in neuroblasts. Nat. Neurosci. (2014) 17: 631-637 Text


座長:高野 敏行(ショウジョウバエ遺伝資源センター)