京都工芸繊維大学

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事業内容

事業内容

  1. ショウジョウバエ系統の維持及びその研究
  2. ショウジョウバエ系統開発及びその研究
  3. ショウジョウバエ系統の提供
  4. ショウジョウバエ系統のデータベースの構築及び公開
  5. ショウジョウバエ系統の維持・開発に関する教育訓練
スタッフ
  • センター長(併任)
  • 教授 1名
  • 准教授 (空席)
  • 助教 1名
  • 外国人研究員 1名
  • 特任教授 2名
  • 非常勤特任教授 1名
  • 特任准教授 1名
  • 産学官連携研究員 4名
  • 博士研究員 2名
  • 研究支援推進員 1名
  • 非常勤技術補佐員 34名
情報の公開
  • ショウジョウバエ遺伝資源の情報収集と公開
維持系統数
  • 平成22年4月現在26,597系統
目標系統数 世界最大
  • 系統維持数(平成17年に達成)
  • 提供維持数(平成26年を目標)
維持系統の種類 系統維持管理
  • 検疫−ダニ/カビの除去
  • 品質管理−外部形態の観察
  • 染色体/DNAのモニタリング
  • 系統管理研究
研究開発系統
  • 欠失染色体系統
  • 重複染色体系統
  • FRT系統
  • プロテイントラップ系統
  • 挿入突然変異系統
系統提供(http://kyotofly.kit.jp/stocks/)
  • ショウジョウバエ研究者への系統の検索と提供依頼用Webデータベース
系統維持機器の開発
  • 大量飼育作製用加熱ミキサー
  • 半自動飼料分注機
  • 加圧式ノズル噴射型洗浄機
データベースの構築

ショウジョウバエの飼料作製の紹介(DGRCNewsVol.4(1)より)

(1) ショウジョウバエの飼料作製の紹介
 ショウジョウバエ遺伝資源センターにはたくさんの見学者がお見えになります。その時の質問のひとつでもあり、始めてショウジョウバエを用いて実験する場合の質問が、ショウジョウバエの餌の作り方と、ショウジョウバエの飼育方法です。この基礎的な事柄を紹介します。但し、本センターでは世界最大の系統数を維持しているので、一般の研究室とはかけ離れた状況です。センターの現状を紹介後、これまでの飼料作製の変遷を紹介することとします。
1. 飼料作製
 1回に飼育ビン13,800本分、週3回作製。センター内での系統維持に使用する飼育ビンはガラス飼育ビンを用い、使用後は洗浄・滅菌して再利用しています。週に約42,000本を使用する研究機関としては、環境問題を考慮するとdisposableプラスチック飼育ビンを使い捨てにすることは許されないという判断からです。

【材料】
原 材 料 数 量

100ℓ
コーンフラワー
4.6kg
コーングリッツ
2.4kg
ビール酵母
4.0kg
グルコース
10.0kg
寒天
0.72kg
ボーキニン
0.5ℓ
プロピオン酸
0.5ℓ

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【工程】
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  1. 飼料作製用蒸気加熱熱釜に湯を張る(100ℓ, 30-35℃)
  2. 計量した材料(ビール酵母・寒天・コーンフラワー・グルコース・コーングリッツ)を釜の湯で溶き入れ93℃になるまで煮込む。その後10分間撹拌する。
  3. UV滅菌室から飼育ビンを取り出し、分注の準備をする。その際飼育ビンに汚れや破損がないか点検する。
  4. 釜の温度が70℃に下がったらプロピオン酸、ボーキニンを入れる。
  5. 釜に分注器を取り付ける。4台の分注器に接続することができる。
  6. 分注器で飼育ビンに飼料を注入する。
  7. スポンジ栓を閉めた後、飼育ビンをカートに載せ、飼料保存室に格納する。
  8. 次回作製用の飼育ビン・原料等を確認、作業室および器具の清掃をして終了。
(2)飼育ビンの洗浄
 ショウジョウバエ遺伝資源センターでは約25,000(飼育ビン約125,000本分)の系統を維持しています(2008年6月現在)。洗浄室では、1日あたり平均60カゴ(飼育ビン10,920本)を洗浄・滅菌処理しており、この作業専用に高圧洗浄機を3台、滅菌器(大型2台、中型2台、小型4台)を導入することによって、大量の飼育ビンの処理効率を大幅にアップさせることができました。
 本センター系統の品質保持のため、良質な飼育ビンを提供するとともに、洗剤を必要としない高圧洗浄機を使用、洗浄時に出た残滓を生ゴミ処理器で乾燥したあと土に還す、といった本学が掲げるISO14001環境マインドに則した作業を行っています。

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  1. 乾熱滅菌器で死滅させ、飼育ビンのスポンジ栓を外す。栓は洗濯機で洗う。
  2. 飼育ビンは、高圧洗浄機で洗う。餌や成虫、蛹、幼虫が死滅した状態のまま洗浄器に入れる。洗剤等の薬品を使用せず400本の飼育ビンを5分間で洗い終わる。
  3. 飼育ビンをシャワーですすぐ。
  4. 飼育ビンとスポンジ栓を乾熱滅菌器で処理する。飼育ビンは更にUV滅菌室で処理する。
飼料作製および洗浄作業機器の変遷
飼料作製用釜分注器洗浄滅菌器
ショウジョウバエ
遺伝資源センター
設立前から
設立直後
第 Ⅰ 期
(-2000)
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都市ガスコンロ
大鍋(10ℓ)
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調理用チャッキリ
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餌落とし/浸置き/
手洗い
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理科器具乾燥機
1,092飼育ビン
第 Ⅱ 期
(2000-2004)
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独自開発
特注加熱釜(60ℓ)
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独自開発ギアポンプ式
小型分注機
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理科器具用洗浄機
販売品
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乾熱滅菌器(中型)
3,300飼育ビン
第 Ⅲ 期
(2004-現在)
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ボイラー型蒸気加熱式
調理釜(120ℓ)
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改良型ギアポンプ式 
分注器
ハンドコントロール式
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特注高圧洗浄機
(洗剤不使用)
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乾熱滅菌器(大型)
4,400飼育ビン

(3)系統の番地管理への変更
 ショウジョウバエ遺伝資源センターの1系統は、飼育ビン2本セット(あるいは国内外の研究者への提供に何時でも系統が準備できるようにする事を考慮して3本セット)で飼育維持を行っている。系統数が23,000(主飼育室は飼育ビン69,000本以上)となり、またバックアップ系統が同じ23,000(副飼育室は飼育ビン46,000以上)存在するため、データベース管理と毎週の手作業による'生きている'遺伝資源系統の合理的な管理システムが要求される。そこで、飼育環境となる飼育室、飼育ラック、飼育棚と飼育箱に全て記号や番号を付し、系統を番地化して管理する事とした。この管理体制にむけて、立体的飼育環境を整備するため、スチール製移動棚を設置した。収納効率の大幅アップと系統の位置情報の管理を合理的に行う大勢が整った。
 本センターでは多数の遺伝子導入系統(組換えDNA系統)を維持している。組換え生物の取扱いに関しても注意が必要で、組換え体の物理的封じ込めに飼育ビンの迅速な加熱処理が必須である。このため、大型の乾熱滅菌器を追加設置することにより、同時に約5,000本の飼育ビンの処理が可能となった。ここで、ひとつ追記しておきたい事は、機器の設置だけではなく、これらの作業に従事する非常勤技術補佐員の合理的且つ正確な作業に支えられて、世界最大規模の系統収容能力と機能性が発揮されている点である。生命科学研究の基礎となる遺伝資源の維持と提供という支援業務を、その土台で支える人々が殆ど非常勤のパート職員で構成されている。重要性を鑑み今後改善されるべきところである。

下記の系統飼育環境を各区分け基準として番地番号を割振った。
飼育室記号 : A・B・C・D
ラック番号 : 01~14(A飼育室)、01~21 (B・C飼育室)、01~20 (D飼育室)、 
棚板番号  : 1~7 (7棚/ラック)
箱 番 号 : 1~9 (9箱/棚)
箱 入 数 : 1~20 (20系統/箱)

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≪番地例≫
飼育室C、第09ラックの第5棚 - 第2飼育箱の第08飼育ビン:この系統番地は、C095-208となる。ショウジョウバエ遺伝資源センターの系統はすべてこの系統番地とDGRC系統番号で管理している。
≪利点≫
  1. 提供時の取出しが番地で行えるため、大幅な作業時間の合理化と正確性の向上。
  2. DGRC系統番号と番地番号によるダブルチェックができ、系統管理に熟練を要しない。
  3. 遺伝子情報カードで遺伝子型のオンサイトでの確認管理が可能。
  4. 空白番地が明確で、系統維持の混乱が生じない。
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