ナショナルバイオリソースプロジェクト「ショウジョウバエ」の新規課題
NBRPショウジョウバエでは、
1.「ゲノム情報等整備プログラム」の課題として
「系統の品質管理にむけたゲノム・特性情報整備」 (代表:情報・システム研究機構国立遺伝学研究所 上田 龍)
2.「基盤技術整備プログラム」の課題として
「系統の長期安定保存技術の開発」 (代表:京都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源センター 山本 雅敏)
が採択されました。
「ゲノム情報等整備プログラム」は1年間の研究期間で、目的はショウジョウバエ系統の品質向上とその管理に必要なゲノム情報等の整備です。主要部分は、国立遺伝学研究所におけるRNAi系統の特性情報整備ということで、遺伝子ノックダウン効率、RNAi特異性の検定/情報公開です。それに加え、系統管理を分子マーカで行うためのSNPs情報、近縁種の分子分類への準備に向けたrDNA配列情報、それらのデータの公開を行うデータベース作成、になります。
「基盤技術整備プログラム」は3年間の予定で行う研究課題です。目的は、系統の増加に対する系統維持の低コスト化を目指した、維持技術の開発です。なかでも、顕微授精技術の開発が課題として採択されました。顕微授精技術の開発と、それに続く凍結精子の保存技術が不可欠になってきます。
文部科学省からの選定結果に関する詳細は;こちらから
ショウジョウバエ研究者各位
アメリカ合衆国のショウジョウバエストックセンターと同等なストックセンターを、日本にも設立し機能させることは、日本のショウジョウバエ研究者仲間の過去数十年間の真摯な懸案事項でした。これを実現すべく、過去6年間を費やし、わが国で初めてのショウジョウバエの系統維持研究機関ショウジョウバエ遺伝資源センターを京都工芸繊維大学に文部省令施設として設立することができ、まず第1歩を踏み出すことが出来たところです。さらに文部科学省の研究基盤整備計画のひとつが、生物遺伝資源の確保を目的としたナショナルバイオリソースプロジェクト
(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/02/020213hc.htm)が発足しました。本プロジェクトの目的に沿って、ショウジョウバエ研究にとって重要な系統を収集、維持、提供を行い、新しい研究に対応できる系統の開発を行うこととなります。
ショウジョウバエ遺伝資源の中核機関として、京都工芸繊維大学ショウジョウバエ遺伝資源センターがあたり、国立遺伝学研究所、愛媛大学、杏林大学がサブ機関として中核機関をバックアップしながら、重要なショウジョウバエ遺伝資源を維持し研究支援体制を整えて行く計画です。
今年のはじめに本プロジェクトの発足計画が公開された直後から、ショウジョウバエ研究者数名の集会を持ち、2月中旬からの公募に向けた申請書の叩き台を作成しました。その段階からの経過についてお知らせ致します(添付書類)。同時に、これからのショウジョウバエ研究者コミュニティにとって、本プロジェクトと我が国におけるショウジョウバエ遺伝資源の収集、維持、提供、開発事業に対して、ご理解とご意見をお願い致します。
京都工芸繊維大学
ショウジョウバエ遺伝資源センター
山本 雅敏