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第10回ナショナルバイオリソースプロジェクト「ショウジョウバエ」運営委員会議事録

日 時:2006年5月31日(水)15:25〜17:35
場 所:京都工芸繊維大学地域共同研究センター会議・研修室
出席者:布山 喜章(元東京都立大学教授)
  多羽田哲也(東京大学教授)
  高野 敏行(国立遺伝学研究所助教授)
  山本 雅敏(京都工芸繊維大学教授)
  上田 龍 (国立遺伝学研究所教授)
  和多田正義(愛媛大学助教授)
  松田 宗男(杏林大学教授)
  山崎由紀子(オブザーバ、国立遺伝学研究所助教授)
  高橋 邦明(オブザーバ、国立遺伝学研究所助手)
  都丸 雅敏(オブザーバ、京都工芸繊維大学助手)
  田中 辰次(オブザーバ、京都工芸繊維大学研究協力課係長)
欠席者:上村 匡 (京都大学教授)
  木村 正人(北海道大学教授)

議 題:1.平成18年度業務事業計画(案)について
    2.その他
 
報告事項:1.課金体制の開始について
     2.大学院教育について
     3.広報活動について
     4.その他
        「額の確定」の日程について

議事録(pdf

議題:
1.平成18年度業務事業計画(案)について
資料1に基づき、平成18年度業務事業計画(案)について、各機関から以下のような説明があった。
京都工芸繊維大学(山本委員):系統維持数の目標値はプロジェクト当初に掲げた数字である。昨年度予定していたが収集できなかったケンブリッジ大学の系統(ED系統約400系統、FRT系統約2,000系統)については、今年度収集できるよう問い合わせる。
ゲノム解析の経緯は以下のとおり。2005年秋に打診があったので、EST解析の申請を行ったが不採用であった。ところが、2006年2月に採用できるとの連絡があったので、京都工芸繊維大学においてcDNAの作成、国立遺伝学研究所で解析が行われた。
国立遺伝学研究所(上田委員):NP系統をすべて京都工芸繊維大学に移管する。
RNAi系統については、昨年度三菱化学生命科学研究所と契約を行い、8,000系統収集することにした。今年度を目途に公開の予定。
愛媛大学(和多田委員):プロジェクト当初は50種400系統を収集する計画であったが、昨年度達成した(57種488系統)。今年度は57種500系統まで維持系統を追加する。
情報発信として、57種すべての写真とミトコンドリアDNA配列に基づいた系統情報を提供する予定である。
杏林大学(松田委員):アメリカ合衆国においてゲノム解析が行われた種(全12種のうちHawaiian Drosophila以外の11種)について維持と提供を行う予定をしているが、植物防疫所の許可が得られず、時間がかかっている。植物防疫所の担当官と連絡を取り許可を得るよう努力している。
情報発信について、アナナスショウジョウバエのEST解析結果を公表の予定。
共通の事業項目:
・シンポジウム:東京にて、秋から冬にかけて開催の予定。1日間、演者は5、6人。(上田委員)
・分類講習会:北海道大学の準自然分類学者養成講座との共催とし、当初の予定より講師を増やし5名、募集人数も15名とした。近日中に案内する予定。(和多田委員)


以下のような質疑や議論があった。

[杏林大学の植物防疫について]
上田委員より植物防疫所の許可を得るにあたっての難しい点について質問があり、松田委員より、1機関が輸入し、そこで維持するだけならば許可は得やすいが、増殖と提供を行う点が難しいと答えがあった。

[リソースの利用とその効果について]
リソースを使ってどのような研究が進んだのかという情報について、上田委員より質疑があり、山本委員より、8月までには網羅したいこと、また、文部科学省に対しては、研究者に対してだけではなく、社会に対してどのような効果があったか集めることも重要なので、新聞や雑誌の記事などもほしいとの答えがあった。
上田委員より、NBRPのウェブページの情報について質問があり、NBRPのリソースを使った論文へのリンクがトップページにある旨山崎オブザーバより答えがあった。上田委員と山崎オブザーバより、シロイヌナズナや藻類は業績が見付けやすいがショウジョウバエは難しいとの説明があった。
多羽田委員より、新聞、テレビなどに積極的にアプローチするよう提案があった。山本委員より、文部科学省の人にわかるようまとめる必要があり、今年度行うシンポジムもそのような方針がいいとの指摘があった。これに対して、上田委員より、今年度のシンポジウムはそのような趣旨として開催するのは難しいとの意見が出された。また、松田委員より、バイオリソースは研究者に対するものであり、社会に直接役立つようなものではなかったはずだとの指摘があった。これに対して山本委員から、バイオリソースは研究者を対象としていること、文部科学省に対してはショウジョウバエリソースは基礎研究のためであると言っていると答えがあった。
布山委員長から新聞記者が飛びつくような話題があってもいいだろうとの意見があり、防除に役立つような話題、オウトウショウジョウバエについてなどが例として上げられた。これに対しては、多羽田委員から基礎研究オンリーであっても社会にアピールできるといいとの意見が、特に天文研究を例にして、出された。

[京都工芸繊維大学の系統の維持数]
山本委員より、京都工芸繊維大学の系統の維持数の18,000が、国立遺伝学研究所の系統の維持数に近い数字になっているが、京都工芸繊維大学では重複維持である(同じ系統を、独立に別の飼育室で飼育している)ことを再認識して頂きたいとの指摘があった。同一機関内重複維持である。さらに、基本系統の多くは、アメリカBloomington系統センターと重複して維持している

[分類講習会について]
北海道大学の準自然分類学者養成講座との共催による講師数5名の予算上の内訳について山本委員より質問があり、3名はバイオリソースであり、2名は北海道大学である旨和多田委員より答えがあった。
和多田委員より、アリゾナ大学ツーソンストックセンターで開催されている分類講習会は、受講者の募集を開始すると10名の定員がすぐに埋まってしまうこと、指導者が生徒と同数ほどいることなどの情報が提供された。なお、今年度の分類講習会では、東南アジア各国や中国、韓国などにも受講者を募るとの予定が述べられた。

[杏林大学の雑種モザイク系統について]
山本委員より、杏林大学の雑種モザイク系統の維持方法について質問があり、雑種モザイク系統は単為生殖系統を利用して作成したものであるため、モザイクホモ接合の雌だけの系統として維持していると松田委員より答えがあった。この系統の雌は他の系統の雄とアウトクロスできる。
和多田委員より、単為生殖系統は他の種ではないのかとの質問があり、布山委員長より、これまで10種くらいしか報告がないとの答えがあった。

以上の議論を踏まえ、平成18年度業務事業計画(案)が承認された。

2.その他
なし

報告事項:
1.課金体制の開始について
山本委員より、資料2に基づき、京都工芸繊維大学において、ショウジョウバエの提供手数料等に関して課金を開始したとの報告があった。
高野委員より、他機関に系統を依頼した場合、京都工芸繊維大学の課金システムで一本化することになるのか質問があり、現在はそのような体制になっていない旨山本委員より答えがあった。
高野委員より、他機関の課金のタイムスケジュールについて質問があり、国立遺伝学研究所では会計と話をしたので、早ければ夏には課金体制が整うと上田委員より答えがあった。これに対し高野委員より、以前の運営委員会では京都工芸繊維大学1ヶ所が料金を徴収する予定であったはずだが、それが変わった理由はなぜかとの質問があり、山崎オブザーバより、国立遺伝学研究所では他の生物種も課金できるようにする必要があるため、独自の課金体制を整えることになったとの答えがあった。
和多田委員より、アリゾナ大学では当初はクレジットカード決済だけの取り扱いであったが、最近は様々な取り扱いをするようになった理由が知りたいとの意見があり、山本委員よりインディアナ大学の例に則ったのであろうとの推測が述べられた。

2.大学院教育について
京都工芸繊維大学では、宮崎大学(ミヤコグサ・ダイズ中核機関)との連携により、大学院博士前期課程において、遺伝資源キュレーター育成プログラムを開始したとの報告が山本委員よりあった。京都工芸繊維大学の当プログラムパンフレットの配布があった。

3.広報活動について
山本委員より、議題にあったように、シンポジウム等により広報活動が必要との報告があった。これに関連して、山崎オブザーバより、6月に京都で開催される国際生化学分子生物学会議において、NBRPが会期期間中続けてパネル展示できることになったと理化学研究所筑波研究所小幡バイオリソースセンター長より連絡があったこと、パネルは小幡氏が作成すること、英文パンフレットを配布できるので準備していただきたいことの報告があった。
系統検索のためのウェブページにミニアンケートを付ける予定なので、協力をお願いしたいとの依頼が山崎オブザーバよりあった。

4.その他
田中係長より、今年度の「額の確定」は7月中旬に行う予定であるとの事務連絡があった。
平成19年度以降に関して、意見を交換した。

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